PPSメールマガジンvol.90「米債務上限は解決の方向へ、ドル円の影響は?」 2023.06.05 #メールマガジン

こんにちは、
PPSの吉岩です。

先週末、米債務上限問題について、
上限引き上げでの原則合意が報じられました。

米政府は2年間、借金限度額を増やせるため、
債務上限問題も一旦は解決となります。

懸念された6月米デフォルトも回避され、
金融市場の楽観ムードも高まっています。

この影響は米国株だけでなく、
日経平均も先週より更に価格が上昇し、
バブル後の高値を上回る数値に動きました。

米経済不安も落ち着きつつありますが、
ここからどのような展開が起きるか考えてみます。

まず、現在の金融市場は楽観ムードであり、
投資家もリスクを好む動きが強くなりました。

株の需要が高まる一方で、
通貨も高金利国通貨の需要が上がります。

そうなると金利の無い日本円は、
他通貨や株へ資金が移るため、
売られる傾向になります。

海外勢の日本株買いも好調なため、
リスク調整による円売りも増えています。

このように、
円が売られる傾向にあるので、
ドル円も先週140円台に到達しました。

年初から130円台で動いていたドル円ですが、
今後140円台が定着すれば、
物価高の更なる値上げ展開も待ち受けています。

企業の想定している為替レートは、
主に130円台前半で設定する所が多く、
想定以上の円安が長く続いた場合、
それに合わせた値上げを実施せざるを得ないからです。

政府が補助金で抑えていたガソリンなども、
縮小の流れとなっていますので、
今年後半の値上げラッシュへの警戒が必要です。

また、円安そのものが、
以前と比べても騒がれにくい内容となりました。

昨年はドル円が140円台に突入した時、
メディアは円安に対する切迫的状況を報じました。

しかし、今回の140円到達に対しては、
特別大きな報道はありません。

国全体が円安に慣れてしまったか、
円安効果による景気回復、
賃金上昇を願うフェーズに入ったからでしょうか。

円安自体の警戒感も薄まった様に感じますので、
以前の様な円安を抑えるための
為替介入も今後は起こりづらいと思います。

というわけで、
米債務上限問題の進展も、
日本から見れば円安の材料となりました。

今の海外勢から見て、
日本株は安く買えて魅力的だが日本円は持つ意味があまり無い、
という状況に変化がなければ、
今の傾向が変わることはないでしょう。

払拭されるには、
日本の金融政策の修正または、
米経済の動向次第となります。

そして、
今回の債務上限報道は基本合意であるため、
正式合意が報道後に更なる円売りが起こる可能性もあります。

ドル円は140円がベースとなるか、
130円台に戻るかが今後の注目点です。

PPS.Llc代表 吉岩勇紀

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この記事は2023年5月29日配信のメールマガジンとなります。
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