こんにちは、
PPSの吉岩です。
先週末、米債務上限問題について、
上限引き上げでの原則合意が報じられました。
米政府は2年間、借金限度額を増やせるため、
債務上限問題も一旦は解決となります。
懸念された6月米デフォルトも回避され、
金融市場の楽観ムードも高まっています。
この影響は米国株だけでなく、
日経平均も先週より更に価格が上昇し、
バブル後の高値を上回る数値に動きました。
米経済不安も落ち着きつつありますが、
ここからどのような展開が起きるか考えてみます。
まず、現在の金融市場は楽観ムードであり、
投資家もリスクを好む動きが強くなりました。
株の需要が高まる一方で、
通貨も高金利国通貨の需要が上がります。
そうなると金利の無い日本円は、
他通貨や株へ資金が移るため、
売られる傾向になります。
海外勢の日本株買いも好調なため、
リスク調整による円売りも増えています。
このように、
円が売られる傾向にあるので、
ドル円も先週140円台に到達しました。
年初から130円台で動いていたドル円ですが、
今後140円台が定着すれば、
物価高の更なる値上げ展開も待ち受けています。
企業の想定している為替レートは、
主に130円台前半で設定する所が多く、
想定以上の円安が長く続いた場合、
それに合わせた値上げを実施せざるを得ないからです。
政府が補助金で抑えていたガソリンなども、
縮小の流れとなっていますので、
今年後半の値上げラッシュへの警戒が必要です。
また、円安そのものが、
以前と比べても騒がれにくい内容となりました。
昨年はドル円が140円台に突入した時、
メディアは円安に対する切迫的状況を報じました。
しかし、今回の140円到達に対しては、
特別大きな報道はありません。
国全体が円安に慣れてしまったか、
円安効果による景気回復、
賃金上昇を願うフェーズに入ったからでしょうか。
円安自体の警戒感も薄まった様に感じますので、
以前の様な円安を抑えるための
為替介入も今後は起こりづらいと思います。
というわけで、
米債務上限問題の進展も、
日本から見れば円安の材料となりました。
今の海外勢から見て、
日本株は安く買えて魅力的だが日本円は持つ意味があまり無い、
という状況に変化がなければ、
今の傾向が変わることはないでしょう。
払拭されるには、
日本の金融政策の修正または、
米経済の動向次第となります。
そして、
今回の債務上限報道は基本合意であるため、
正式合意が報道後に更なる円売りが起こる可能性もあります。
ドル円は140円がベースとなるか、
130円台に戻るかが今後の注目点です。
PPS.Llc代表 吉岩勇紀
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