こんにちは、
PPSの吉岩です。
3月の米SVB銀行の破綻は、
米経済と金融システムに対して、
不安を増幅させる事件でした。
この事件をリーマン・ショックの再来や、
前兆と喧伝するメディアも多く、
現在の金融市場は落ち着きを見せつつも、
今後も油断はできない状況です。
そして先日、米国最大手のJPモルガン銀行が、
投資家向けのアニュアルレポートを発表しました。
このレポートには、
SVB破綻の件や金融危機についてのコメントもあったため、
少し紹介しようと思います。
https://www.jpmorganchase.com/ir/annual-report
レポートは英文となりますので、一部をかいつまんで説明すると…。
-----①
「金融規制の強化だけでは危機を全て防ぐことはできない」
「SVBの顧客は、預金を動かしやすい少数のベンチャー企業がほとんどだった」
「そのため、資金の安定性が無かった」
まず、SVB破綻の件に上記の様なコメントをしています。
米国を含め、
世界は2008年のリーマンショックから、
その再来を防ぐために金融態勢の強化を進めました。
しかし、今回のSVBの様に顧客が特殊なケースの場合では、
それらの危機を完全に防ぐことはできないと伝えています。
-----②
「FRB(米国中央銀行)は、
金利を上げることに対する銀行の負担を想定していなかった」
今回の混乱は銀行サイドだけでなく、
中央銀行の想定外だったと指摘をしています。
アメリカはこの1年で歴史的な速度で利上げを進めた結果、
金融機関にかかる負担を考慮しきれていなかったと言うことです。
これは他の金融関係者も同じような苦言を残す方も多く、
中央銀行の失態だと批判する声もあります。
-----③
「銀行破綻の問題が解決しても、この影響は何年も続く」
銀行破綻からの迅速な対応により、
現在は連鎖破綻という心配も薄れてきており、
金融市場も落ち着きを見せております。
しかし、破綻の反動で資金の流動性は下がり、
中小の銀行では融資の姿勢が慎重になるかもしれません。
この破綻の影響が、
後々の影響が起こり得る可能性を警鐘しています。
-----④
「2008年の金融危機とは全く違う」
「影響を受けた金融関係者は以前より少なく、問題も少ない。」
今後の影響に対し警戒するコメントもありましたが、
リーマンショックとは全く違う状況であるとも示しています。
銀行破綻が起きた後は、
リーマンショックの再来と見出しにする記事も多く、
注目も集まりました。
強い言葉の見出しから、
不安が強くなった人もいるでしょう。
このコメントは、
JPモルガンがその様に危機を煽るメディアに対し、
釘を刺すためなのかはわかりません。
-----まとめ
今回の騒動の影響は数年は続くが、
リーマン・ショックとは異なるという見解でした。
すべてが万事解決したわけではないため、
今後どのように今回の影響が広がるかは不明確です。
私達ができるのは、
これらの騒動を冷静に判断しながら
資産を守るということだけです。
ですが、今回のような状況が起きた時、
SNSやメディアでは過剰な言葉で伝えられます。
今回のアメリカだけでなく、
日本経済においても不安を感じさせる
あらゆる情報が流れてきます。
もし、その情報をすべて鵜呑みにすれば、
本質的な情報を見失い、
資産形成にも影響を及ぼす可能性もあります。
危機に対して備えることは、
決して間違いではありません。
私自身も最悪のシナリオに備えましょうと、
口にする機会も多いです。
不安の強い情報を決して楽観視せず、
だからと言って不安に押されて見失わない様、
冷静な判断で資産を守る対策を進めましょう。
PPS.Llc代表 吉岩勇紀
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