PPSメールマガジンvol.62「予想を反した日銀人事、植田氏について」 2023.02.20 #メールマガジン

こんにちは。
PPSの吉岩です。

前回お伝えした日銀新総裁候補について、
岸田首相は10日、植田和男氏を起用する方針が固めたと
各メディアから報じられました。

最有力候補であった雨宮氏は辞退したと報じられており、
候補の予想を反した植田氏の指名は
市場を動かすサプライズ人事となりました。

報道後、ドル円は一時129円の円高となりましたが、
週明けには報道前の131円台に戻っております。

この流れについて説明すると、
まず雨宮氏が新総裁となった場合、
今の金融緩和政策が継続されると予想されました。

これまで黒田総裁を支えた人物であり、
現日銀の副総裁という点があるからです。

ところが、植田氏が指名されたことにより、
「植田氏がどのような考えを持っているのか」
「雨宮氏で無いということは引き締め政策に転換するのでは」
と、今後の政策転換を懸念した円買いが強くなったと見られます。

報道後に円高に進んだのはそのためです。

この植田氏はこれまで、
東大教授や日銀審議委員を務めた経験を持ち、
金融政策の経済学者として功績を残している方です。

日銀審議委員では、
ゼロ金利政策や量的緩和の導入に
携わったと言われています。

また、植田総裁が実現すれば、
財務省や日銀からの出身ではない、
史上初の学者出身での日銀総裁が生まれます。

これは海外でもアメリカのFRBや、
欧州のECBでは学者出身の総裁がいましたので、
世界で見れば特に珍しいことではありません。

気になる政策のスタンスについてですが、
金融緩和のハト派、引き締めのタカ派のどちらでもない
中立的な姿勢だと言われており、

経済学者らしくデータを元にした理論で、
政策を動かしていくのではないかと期待されています。

人事報道後のインタビューでは、
「現状では金融緩和の継続が必要である」と伝えており、
総裁就任後に政策転換という流れも考えにくく、
この報道後、ドル円も131円台に戻ったと思われます。

 

 

さて、総裁人事も一段落となりそうですが、
新総裁にはかなり重い問題が課せられていると思われます。

現在の岸田政権が挙げる
物価上昇を超える賃金上昇の実現には、
日本の景気回復と経済成長が必須です。

そのために続けられた異次元金融緩和ですが、
国債などの金融市場への悪影響や、
海外との金利差などの悪影響も目立ち始めています。

今後も昨年の長期金利利上げなどを例に、
緩和から引き締めへの政策転換が
必要となる場面も出てくるでしょう。

つまりは、金融緩和を進めつつも、
転換への出口戦略も求められていると私は思います。

まだ情報も少なく、
どのように政策を進めるかも未知数なため
今後の発言や声明などに注目です。

PPS.Llc代表 吉岩勇紀

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この記事は2023年2月13日配信のメールマガジンとなります。
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