こんにちは。
PPSの吉岩です。
月曜の未明、
日経新聞から以下の内容が報じられました。
「政府は日銀黒田総裁の後任に雨宮副総裁に就任を打診」
内容は政府からの正式な提示ではなく、
日経新聞の独自報道でしたが、
それでも市場は反応し、
ドル円は132円と円安に進みました。
その後、政府要人から会見で
「そのような事実はない」と否定され、
円高に戻る場面もありましたが、
火曜日朝の時点でも132円台を位置しています。
先日の米雇用統計結果と合わせ、
ドル円は円安ムードが強くなっています。
しかし、なぜ正式な通知でもない
「雨宮氏に打診」という報道だけで、
ここまで市場が反応したのでしょうか。
その理由ですが、
この次期総裁の人選は、
世界からも大きな注目を集めているイベントで、
今後の日本における金融政策の影響も強いからです。
今回、名前の挙がった雨宮正佳氏は現在の日銀副総裁、
その前は日銀理事として黒田総裁を支えていました。
まさに黒田氏のブレーンと言って良いほどの存在であり、
次期総裁の最有力候補としても挙げられている方です。
もし、雨宮氏が次の総裁となった場合は、
黒田氏が進めてきた金融緩和政策が、
維持される方向が強いと見られています。
言わば、現状維持の方針です。
このため、雨宮氏が総裁に選ばれれば、
今の金融緩和が続くと市場が反応し、円安に傾きました。
また、総裁は金融政策を主導する立場であるため、
政策に対しどの様な姿勢を持っているかという点も重要になります。
主に金利緩和を進め、景気回復を重視する「ハト派」
金融引き締めで物価安定を重視する「タカ派」
このふたつの姿勢となります。
日本政府がどの姿勢を持つ人物か選ぶかによって、
どんな政策を求めているかも金融市場に伝わります。
現総裁の黒田氏や今回の雨宮氏は「ハト派」の方です。
既にご存知の通り、
マイナス金利や異次元緩和など、
金融緩和による景気回復を狙う政策を進めています。
そして、雨宮氏以外の有力者の場合では、
中曽宏氏や山口広秀氏などがよく名前に上がります。
中曽宏氏の場合は、ややタカ派の姿勢が強いため、
現在の緩和政策にも修正が入れられることが予想され、
就任後は円高に進みやすくなると言われています。
山口広秀氏は候補者内で最もタカ派とされており、
山口氏が選ばれた場合は、
政府側も強い政策転換を求めていることがわかり、
金融市場や円にも大きく影響が起こるでしょう。
このように次期総裁の人選により、
市場の反応も大きく変わっていくのです。
しかし、最初にお伝えした通り、
今回の記事は政府からの正式な提示ではありません。
打診があったという報道なので、
まだ雨宮氏に決定したという内容ではないため、
最終的な人選もまだわからないのです。
今月中には国会で人事案が提示されるはずなので、
政府・日銀側からの情報を待つしかないでしょう。
正式な情報が発表後、為替市場への反応や、
今後の金融政策の動向も決まってくるかと思われます。
PPS.Llc代表 吉岩勇紀
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