こんにちは。
PPSの吉岩です。
先週開催された金融政策決定会合にて、
金融政策は従来通りの現状維持と発表されました。
昨年12月に修正された長期金利幅0.5%は、
すでに上限を超えかけている背景もあり、
今回の会合で更なる修正が予想されました。
この長期金利の上限を抑え込むため、
日銀は連日国債の大量購入を続けており、
修正をしなければ、
今後も日銀の買い入れ負担が大きくなるためです。
しかし、会合での総裁記者会見では、
「何か特別なリスクがあるとは考えていない」と、
国債の大量購入について示しており、
次回の会合までこの状況は続くと考えられます。
ドル円については発表後131円まで上昇しましたが、
その後の米経済指標の影響から129円台まで戻っており、
年明けからの徐々に円高に進みつつあるも、
はっきりと方向の定まらない展開が継続中です。
今回はこの国債大量購入の背景と、
その影響について少し解説いたします。
前回でも触れている部分もありますが、
おさらいという形で見ていただければと思います。
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まずは国債の大量購入の背景についてです。
日銀は1月ですでに16兆円を超える額の国債を購入し、
歴代の月間買い入れ額を更新し続けています。
4兆円、5兆円近くを購入している日もあり、
月、日毎での購入額は今月だけで過去最大となりました。
このペースでいけば、
月20兆円を超えるのも時間の問題かと思われます。
これだけ購入を続けるのは、
金利を抑えこむのが理由であり、
大量購入の背景となります。
そもそも、昨年12月に上限を修正したのは、
日米金利差や市場情勢により維持が現実的で無いとして、
0.25%から0.50%の修正を行いました。
修正後、0.50%近くに到達するのは、
日銀の目論見通りであると言えます。
しかし実際の所は、
その上限を超える展開が予想以上に強く、
国債の大量購入を迫られている展開となっています。
海外ファンドなどの投資勢や投機筋による
国債の空売りが強くなっているためです。
国債には金利が上がれば価格が下がる特性があります。
空売りを続けた海外勢は
もしも、緩和修正が起きた場合に利益を得られるため、
このような売買が続いているのです。
今回の日銀会合では、
更なる緩和を期待する部分が注目されましたが、
しかし、実際は現状維持で決まりました。
今後もこの攻防が続くのか、
海外勢と日銀のどちらかが折れるのか
という展開が今後のポイントとなります。
そして、この大量購入に関する影響ですが、
もちろん政策の修正が起きれば、
日本円や株にも影響はあります。
ですがそれ以上に、
日本経済や財政に対する不安という面が
より一層強くなる内容です。
日銀はすでに発行した国債の内、
5割以上を保有していると言われています。
この10年で日銀の保有率は10%前後から50%以上となり、
国の借金を日銀が半分以上管理していることにもなります。
国債も株式と同様に投資家や金融機関の取引から
価格と金利が自然体で形成される仕組みです。
国債のほとんどを日銀が持っている今の状況は、
市場としては非常に不健全であると言えます。
また、保有すればそれだけ利息の支払額も増加するため、
今後、金利が急上昇した場合など、
日銀がそれに耐えられる財政があるのかなど、
債務超過の心配も生まれます。
そのような事は決して起きない様に戦略を立て、
今回の様な買い入れを行なっているかと思われますが、
大量保有や債務超過のリスクなどから、
日本国債が健全ではないと世界から評価された場合は、
日本の価値や信頼は一気に下がることになります。
この下がるというのは国債だけでなく、
日本円や日本株の価値も含めてです。
日本資産に保有する価値や将来性を失ってしまえば、
暴落や急激な円安だけでなく、
ハイパーインフレなどのシナリオもあるかもしれません。
ですので、直近での国民への影響は起こりにくいですが、
将来的なことを考えると暗いシナリオを想定してしまうのが、
今の国債や日本財政と言えるでしょう。
この不安やシナリオが本当に実現するのかというのは、
今後の日本政府の動き方次第となりますが…、
今回の件で日銀が国債の受け皿となり、
政府の借金頼みの財政運営を助長する構図が
鮮明となったとも言えます。
PPS.Llc代表 吉岩勇紀
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