PPSメールマガジンvol.52「日銀の壁、ついに崩壊」 2022.12.28 #メールマガジン

こんにちは。
PPSの吉岩です。

20日(火)の正午、
日銀の金融政策決定会合の発表から、
ドル円は記録的な速度で円高に進みました。

日銀会合ではこれまで通り、
政策の現状維持が発表されるだけと思われたはずが…。

「長期金利の許容変動幅±0.25%を±0.5%まで拡大」と、
金融緩和の見直しが突然発表されたためです。

長期金利幅の拡大は、
「実質的な利上げ」に近いものとなります。

金利上昇による通貨の価値上昇や、
株価の下落という動きが起きます。

今回の緩和見直しについては、
事前の報道や市場予想でも
想定がされてなかったサプライズ情報であったため、
金融市場は大きな動きを起こす結果となりました。

この長期金利についてや、
その影響を今回は解説します。

 

 

まず長期金利とは、
一般的に言えばおおよそ1年以上の貸出金利ですが、
今回の長期金利は「10年物国債の金利の数値」となります。

経済ニュースなどでの
長期金利の上昇という内容の場合は、
主に後者の方を指しています。

この10年物国債の金利は、
長期金利の指標とされており、
住宅ローンの固定金利などに影響を受けます。

日銀はYCC(イールドカーブ・コントロール)と呼ばれる政策で、
10年物国債の金利に目標値を作り、
その水準に収まる様に調整を行っていました。

長期金利0%程度を目標とし、
その許容範囲として±0.25%の数値を立て、
国債購入により金利をコントロールしています。

しかし、
今年は世界的なインフレから金利上昇の圧力が強く、
上限0.25%を超えようとする場面も多くありました。

そのため、
指値オペと呼ばれる無制限の国債買い入れを行うなど、
長期金利の上昇をなんとか抑えている状況でした。

こう言った背景が理由となり、
金融環境の緩和維持と市場機能の改善を図ることを目的にし、
今回の見直しが決定されたのです。

明確には言われることはありませんが、
変動が激しい円や円建て資産に対しての
価格変動を抑える目的であるかと思われます。

 

 

この緩和見直しにより、
国民の資産にどのような影響があるかと言えば、
主に円資産と固定金利ローンが挙げられます。

ドル円は発表後から
1ドル137円から133円まで円高に進み、
日経平均も下落をしました。

ドル円に関しては、
その後の日本深夜時間にも海外市場での円買いが続き、
一時は130円台までの円高に進行しています。

たった1日で、
今年後半に起きた円安を
半分以上取り戻す結果となりました。

そして、長期金利が上がれば、
住宅ローンの固定金利や、
企業の資金調達の面で負担が増えます。

これは単純に金利が上昇するためです。

その他にも長期目線で言えば、
不動産の利回りや需要が下がる傾向となるので、
不動産価格にも影響を及ぼす可能性がありますね。

 

 

さて、今回の日銀の緩和見直しは、
金融市場に大きなサプライズを招き、
為替介入時とほぼ同じレベルの衝撃となりました。

黒田総裁の任期である来年4月までは、
金融緩和の姿勢を崩さないと誰もが思っていただけに、
この展開は誰も予測ができません。

海外から見ても、
これまで動かなかった日銀が緩和修正の動きを見せ、
今後の政策転換を期待させるニュースとなったかもしれません。

「日本の金融緩和が来年変わるかもしれない」という流れになれば、
それを対応した海外勢からのドル売り円買いも強くなり、
今後は極端な円安という流れも少なくなる可能性も見えます。

そして、
見直しが今回だけという展開も中々考えにくく、
岸田政権は現在の物価高目標2%の柔軟化を検討しており、
新総裁後からの新たな金融政策を準備している最中かもしれません。

日本も金融緩和に変化が見え始めた今、
来年はアメリカを中心とした経済政策だけでなく、
日本の政策動向にも目を向けなければならない年となりそうです。

PPS.Llc代表 吉岩勇紀

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この記事は2022年12月20日配信のメールマガジンとなります。
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