ここ数ヶ月、
史上最高値を更新していた金(ゴールド)が、
22日には一転して急落しました。
「安全資産のはずの金が、なぜ下がったのか?」
と感じた方も多いのではないでしょうか。
メディアでは主に、
利益確定による一時的な調整が要因と報じられました。
しかし、その裏にあるのは、
"金融商品の構造"そのものです。
今回は、金市場の裏側で起きていた
「ETFと実物金の乖離」について解説します。
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① 地金の販売一時停止が示す逼迫
10月上旬、田中貴金属工業など、
大手地金商が小型ゴールドバーの販売を一時停止しました。
その背景には、金需要の急増があります。
近年、米経済の不透明感やインフレ再燃への懸念から、
「金を保有したい」動きが強まっています。
この傾向は価格の高騰にも表れており、
需要が供給を上回る状況です。
しかし、
金は採掘量が限られている希少な資産です。
流通にも法規制やマネーロンダリング防止の観点から
時間とコストがかかる特性も持ちます。
結果として、市場の金需要に対し、
「現物が手に入りにくい」状況が生まれ、
その逼迫を象徴する販売停止が起きているのです。
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② 金ETFと現物の価格乖離
こうしたなか、東京証券取引所は、
金ETF(上場投資信託)の市場価格が、
現物の基準価格に比べて高騰しているとして
注意喚起を行いました。
金ETFとは、実際の金の価格に
連動するように設計された金融商品であり、
実物の金を買わなくても、
価格の値動きだけを取引できる仕組みです。
証券会社を通じて少額から投資できるため、
投資家から一般層まで人気も高まっています。
そして、現物の供給が止まったことで、
投資家の資金はETFに集中しました。
本来、ETFと現物の価格は大きく乖離しません。
運用会社や機関投資家が「裁定取引」により調整し、
価格を現物と連動させるためです。
しかし、今回のように
現物金の枯渇や急激な価格変動が重なると、
調整に必要な現物や資金が間に合わず、
価格の乖離が拡大していきます。
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③ 価格差が開くとどうなる?
ETFが現物と連動しなくなるのは、
「仕組みとしての信頼性が揺らいだ」
というサインです。
こうした注意喚起や乖離が広がると、
過熱していた金市場に不安が広がり、
リスク回避や利益確定の売りが急増します。
その結果、売りが連鎖し、金価格の急落を招いたのです。
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④ まとめ
金融市場の価格は
あくまでも需給のバランスで動きます。
今回の下落は、行き過ぎた需要と
供給の逼迫が生み出した「構造的な調整」です。
国や通貨に属さない金であっても、
市場や金融構造の影響を避けることはできません。
とはいえ、安全資産としての金の本質的価値は変わりません。
むしろ今回の下落は、
「金融」と「実物」のバランスを
取り戻すための健全な過程とも言えます。
世界情勢や金融構造の変化を背景に、
「守りの資産」としての金の価値は、
今後も長期的に注目され続けるでしょう。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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