日銀は先日、保有するETFとJ‑REITを
売却する方針を発表しました。
これまで続いた大規模金融緩和の
“出口戦略”の一環であり、株価が一時動く影響もありました。
今回は、その背景と影響について、かんたんに整理してお届けします。
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① そもそもETFとJ‑REITとは?
ETFは「上場投資信託」のことです。
株価指数に連動するように設計された商品で、
株式と同じように市場で売買されます。
一方、J‑REIT(不動産投資信託)は、
日本国内の不動産に投資し、
賃貸収入や売却益を投資家に分配する商品です。
こちらも株式と同じように上場しており、
不動産市場への投資を手軽に行う手段として利用されています。
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② なぜ日銀は過去、ETFを大量に買ったのか
日銀は2010年からETFを買い始め、
2013年以降は年数兆円の規模に拡大。
理由は「株価の下支え」です。
当時は日本経済の停滞感が強く、
日経平均も低迷していました。
日銀は大胆な金融緩和策の一部として、
ETF・J‑REITを買い入れるという
世界でも異例の手段に踏み切ったのです。
その結果、
日銀は日本株全体の約7%を保有するまでに
至ったとも言われています。
ただし、株価は確かに上昇しましたが、
・市場環境の歪み(政府が買い支える環境)
・将来の売却リスク(売却した場合の暴落)
といった副作用も指摘されていました。
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③ なぜ“今”売るのか?
ETFの新規購入はすでに停止しており、
「いつかは売却が始まる」と噂されていました。
その"いつか"を予測していた人は少なく、
今回の売却発表は“サプライズ”となりました。
最近は日経平均が高騰しており、
含み益が出ているタイミング。
今なら損失無く処分しやすく、
出口戦略としては“良い時期”と言えます。
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④ 売却の中身と影響
■ ETF:年間約3,300億円(簿価ベース)
■ J‑REIT:年間約50億円
これは日銀の保有額(時価70兆円)と比べると、
ほんの一部にすぎません。
植田総裁も会見で、
「全て売るのに100年以上かかる」
と述べています。
つまり、今回の売却によって、
市場への影響は起こりづらい水準と見られています。
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⑤ 発表時の反応
発表直後、株価は一時急落しましたが、
その後は落ち着きを取り戻しました。
急落の背景には、
「対話を重視する」とした植田総裁の姿勢と
今回の“サプライズ発表”とのギャップに対する
反応があったとも言われます。
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⑥ 今後の見通しは?
しばらく様子見が続くと見られますが、
株価の動きや市場の反応によって
売却スピードが調整される可能性もあります。
市場への悪影響があれば売却量の見直し、
影響が軽微であれば徐々に増額、
といった柔軟な対応が予想されます。
今回の方針は、
日銀の金融政策が「脱・異次元緩和」へと
じわりと動き出したことを示す一歩です。
引き続き、金融政策と市場の動きに
注目していきましょう。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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