PPSメールマガジンvol.31「為替介入で円安時代に歯止めがかかるか」 2022.10.06 #メールマガジン

こんにちは。
PPSの吉岩です。

先週の木曜に行われた
日銀の為替介入について、
今回は解説とその影響をお伝えします。

22日木曜、
日銀会合での金融緩和の維持決定と、
黒田総裁の会見から、円売りが進みはじめ、

一時はドル円が146円に到達する進行具合でしたが、
為替介入後、わずか数十分で140円台まで変動しました。

為替介入とは、その言葉の通り、
国が為替市場の売買に介入し、
価格の調整を行う方法です。

介入の決定権は財務大臣が持っており、
日銀は決定に対して実務を行うポジションです。

これまでの政府は口先だけの牽制でしたが、
ついに政府自らが為替に介入する
重大な局面にもなりました。

今回の為替介入の目的は、
「急速な円安進行の歯止め」ですが、

日銀の黒田総裁は、
「円安による景気上昇」の目標とし、
現在も金融緩和の維持や、
国債の買い入れを進めている状況です。

実際に黒田総裁は会見でも、
「為替介入については財務省の権限である」
と述べており、為替介入に関する明言はありませんでした。

内々で認識を合わせているかとは思いますが、
政府と日銀の方向性に、若干のズレを感じさせます。

また、為替介入には、
1:口頭での牽制介入
2:日本のみの単独介入
3:相手国との共同介入
と、3つの段階があります。

今回は日本側の単独介入であり、
アメリカ側もそれを容認していますが、
共同介入とまでは進んでいないため、

米経済はインフレ問題もあり、
まだまだドル高円安であってほしいのが、
本音であると思います。

とはいえ、
前評判では、アメリカが為替介入を認めるはずがなく、
実施には非常に高いハードルとまで言われたため、

ある程度の円安抑制については、
事前に了承を進めていたのではないかと思います。

さて、今回の為替介入に対し、
これで円安の進行が収まるのかと言われれば、
実際はそうなりません。

一時しのぎの処置でしかないため、
140円まで下がった後も、
現在は144円まで戻しています。

根本的な問題である
日本とアメリカとの金利差が収まらない限り、
今後も円安が進行することでしょう。

ですが、
あのタイミングで為替介入が無ければ、
146円以上まで進んだ可能性があり、

なにより、
これまで売られやすかった円に対して、
為替介入による防衛ラインを表せたのは、
多少ながらプラスになったと思います。

特に海外からは、
「日本は利上げをしないマイナス金利の国」
「利上げすれば、国債の利払いができなくなるから
国債を買い漁る日本は利上げできない」
とも見られていたため、
投機筋や投げ売りへの牽制になるのではないでしょうか。

為替介入は急激な円安進行に対して、
今後も対応が行われると思われますが、

介入から価格が乱高下しつつも、
この直近の動きのように、
じわじわと元の価格に戻り、

米経済の指標や利上げにより円安が進む
これまでの流れは変わらないと思います。

介入による短期的な円高では、
我々の生活に対する変化は現れにくいですし、
物価上昇の波も収まりません。

情勢が落ち着き、
一定の額に落ち着き安定こそしなければ、
今の円安状況は脱することはできず、

為替介入はあくまでも、
円安進行への延命手段と言った感じです。

吉岩 勇紀

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この記事は2022年9月26日配信のメールマガジンとなります。
当時の状況による内容であるため、現在の状況とは異なる場合がございます。

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