3月初旬、
米国によるイラク攻撃が報じられ、
中東情勢が一気に緊迫しました。
金融市場もすぐに反応し、
原油価格の上昇や株式市場の下落。
そして、為替市場では、
「有事のドル買い」が意識され、
ドル円は158円台まで円安が進みました。
こうした局面では、
ドルが大きく動きやすくなります。
では、なぜ有事になると
ドルは動きやすいのでしょうか。
今回はその背景にある
「通貨の構造」について整理します。
▼ 有事でドルが動きやすい理由
有事の際にドルが動く理由は、
大きく三つあります。
一つ目は、
ドルが基軸通貨であることです。
世界の多くの取引は、
ドルを基準に動いています。
市場が不安定になれば、
資金は基軸通貨である
ドルへと集まりやすくなります。
二つ目は、
国際決済の中心にあることです。
国際的な取引は、
ドルを介して行われます。
有事で情勢不安が起こると、
金融機関や企業は、
決済や資金管理を優先します。
その結果、
ドル需要が高まりやすくなります。
三つ目は、
流動性の高さです。
為替市場において、
ドルは最も取引量が多い通貨です。
市場が揺れる局面では、
投資家は利益よりもリスク管理を重視します。
そのなかで、
最も取引が成立しやすい通貨がドルなのです。
ここで重要なのは、
安全だから買われるというより、
「最も流動性があるために動きやすい」
という構造です。
投資家は正しさよりも換金性を優先します。
その受け皿として、
ドルが選ばれやすいのです。
▼ 安全通貨は“性質”ではなく“評価”
こうした理由から、
ドルは「安全通貨」と呼ばれることがあります。
しかし、この言葉には一つの重要な前提があります。
安全という評価は、
通貨そのものの性質ではありません。
市場参加者が
その時点でそう評価している
という意味に過ぎません。
通貨は事実だけで動くものではなく、
市場の見方や評価が変わることで
その動きも変わります。
これは前回お伝えした
「評価は修正される」
という話にもつながります。
ドルも円も、絶対的な安全を
持っているわけではありません。
市場の合意の上で、
その時点で「安全」と見なされている。
そうした評価の上に
成り立っているのが通貨なのです。
▼ 通貨は出来事ではなく構造で動く
有事であっても、
平時であっても。
通貨は出来事そのものよりも
その背後にある構造によって動きます。
安全と呼ばれる通貨も、
その評価の上で成り立ちます。
だからこそ、
通貨の変動を見るときには
出来事だけではなく、
その背後にある構造を見ることも重要です。
それが、資産を守るための視点になります。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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