前回、「円だけで持つ不安」について、
その構造から整理しました。
今回は、その前提を逆に、
「円に安心してしまう構造」について、
もう一段掘り下げていきます。
▼ ホームアセットバイアスという現象
投資の世界には
「ホームアセットバイアス」
という概念があります。
本来は資産全体に見られる傾向ですが、
通貨にも同様の構造が働きます。
人は合理的に判断しているつもりでも、
実際には自国の通貨や資産を多く保有しやすい傾向があります。
理由は明快です。
・情報を得やすい
・制度を理解している
・言語が同じ
・日常で使っている
つまり、「自分の中で説明がつく」からです。
説明がつくものは安心しやすい。
しかし、ここで整理しておきたいのは、
説明できることと、安定していることは同じではない点です。
▼ 円は“通貨”というより“基準”
円は通貨であると同時に、
生活を測るための基準でもあります。
基準になっているものは、
評価の対象になりにくい。
評価されないものは、疑われません。
疑われないものは、安心として残ります。
これは通貨の強弱の問題ではなく、
設計の前提の問題です。
▼ 安心は「環境に最適化された結果」
私たちの通貨設計は、
日本という環境に合わせて自然に形づくられています。
生活も制度も税も円で動いている。
その環境に最適化されるのは、
ある意味で合理的です。
しかし、ここで一つの視点があります。
最適化とは、
「その環境の中では効率的」
という意味です。
環境が変われば、
最適な設計も変わる可能性があります。
安心は、絶対的な安定の証明ではなく、
今の環境に適合している結果かもしれません。
▼ 問題は通貨ではなく、無意識
円は主要通貨であり、
生活において機能しています。
ただしそれは、
日本の環境のなかで得られている
安心と効率という前提があるためです。
この感覚的な安心が無意識のままだと、
それが資産設計の前提として残ります。
守るという視点に立ったとき、
重要なのは通貨の好き嫌いではなく、
設計が意識的であるかどうかです。
その前提があることに、
まず気づくことから始まります。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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