先週、米国株は最高値を更新しました。
それと同じタイミングで、
金価格も大きく上昇しています。
株式は、
投資家がリスクを取りやすい局面で
買われることが多い資産です。
一方の金は、
リスクを避ける局面で買われやすい
「安全資産」として知られています。
異なる性質を持つ株と金が、
なぜ今、同時に上がっているのでしょうか。
今回は、一見すると
矛盾して見える値動きから、
市場が何を見ているのかを整理します。
▼ 「株高=楽観、金高=不安」ではない
8月7日の米国市場では、
S&P500が最高値を更新。
金価格も、
1オンス4,300ドル台まで上昇しました。
株が買われる=投資家がリスクを取っている。
金が買われる=投資家がリスクを避けている。
こう考えると、
現在の値動きは少し不思議に見えます。
しかし、
株高だから市場は楽観。
金高だから市場は不安。
そう単純には判断できません。
今回、株と金の双方に影響した大きな材料は、
米国の「金利」です。
▼ 弱い雇用統計で、利上げ観測が後退
8月7日に発表された7月の米雇用統計では、
非農業部門の雇用者数が
前月から2万3,000人減少しました。
市場では8万人程度の増加が
予想されていたため、予想外の弱い結果です。
ここで市場が強く意識したのは、
「FRBが追加利上げに
動きにくくなるのではないか」
という見方でした。
雇用統計の発表後には、
9月の追加利上げ観測が後退。
米国債の利回りも低下しました。
つまり、市場は経済指標の
良し悪しだけでなく、
金融政策がどう変わるのかまで
先回りして動きます。
▼ 利上げ観測の後退は、株にも金にも追い風
追加利上げへの警戒が弱まると、
株式には追い風となります。
金利が上がると、
企業の借入負担が増え、
債券にも資金が向かいやすくなるためです。
一方、金には利息がないため、
金利が低下すると相対的な魅力が高まります。
さらに今回は、
雇用統計を受けてドルも下落しました。
ドル安も、金価格を支える材料です。
つまり、
弱い雇用統計
↓
追加利上げ観測が後退
↓
米国債利回りやドルが低下
↓
株と金の双方に追い風
という流れです。
▼ ただし、同じ理由だけではない
もっとも、株と金がまったく同じ理由で
上昇しているわけではありません。
米国株には、
企業業績という支えもあります。
特に足元では、
AI関連を中心とした企業業績が
株式市場を支えています。
一方、金も、
金利だけで動くわけではありません。
ドルの動きや地政学リスクなど、
複数の材料に左右されます。
同じ資産でも、
買われる理由はその時々で変わります。
▼ 次に市場が見るのは、米国の物価
そして今週、
市場が次に注目するのが
米国の物価です。
8月12日には、
7月の消費者物価指数、
CPIが発表されます。
今回、株と金を支えた材料の一つが、
追加利上げ観測の後退でした。
しかし、
物価上昇が予想以上に強ければ、
追加利上げ観測が
再び強まる可能性があります。
そうなれば、
金利をめぐる市場の前提も変わります。
株価が上がっているから、
市場は強気。
金が上がっているから、
市場は弱気。
現在の相場は、
その二つだけでは説明できません。
重要なのは、
「何が上がったのか」ではなく、
「なぜ上がったのか」。
値動きの背景まで見ることで、
市場の変化を捉えやすくなります。
PPS代表 吉岩 勇紀
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