6月のドル円相場は、
月初の159円台から始まり、
月末には162円台に到達しました。
これは、1986年以来の水準です。
今回注目したいのは、
160円という水準の意味です。
これまで160円台前後は、
政府・日銀の強い警戒ラインとして
意識されてきました。
しかし、6月を通じて市場の焦点は、
「いつ介入するのか」から、
「次にどの水準を防衛ラインと見るのか」
へと移っているように見えます。
今回は、6月のドル円相場を、
上旬・中旬・下旬に分けて整理します。
▼ 上旬:159円台から160円台へ
159円台でスタートしたドル円は、
月初から160円台をうかがう展開でした。
160円は単なる節目ではありません。
過去の介入局面でも意識された水準であり、
市場参加者にとっては、
政府・日銀がどこまで円安を容認するのかを
測る目安になっていました。
日本政府からも、
円安をけん制する発言が出ており、
必要に応じて対応する姿勢が
改めて示されました。
いわゆる口先介入ですが、
円安の流れを反転させるほどの
材料にはなりませんでした。
この時点で市場は、
160円台を警戒しながらも、
そこが本当に守られるラインなのかを
試し始めていたといえます。
▼ 中旬:日銀利上げでも円安は止まらず
日銀は6月の会合で、
政策金利を0.75%程度から
1.00%程度へ引き上げました。
通常であれば、
利上げは円高材料になります。
しかし、利上げ後も、
ドル円は大きく円高方向へ戻りませんでした。
背景にあったのは、
なおも残る日米金利差です。
さらに米国は、
6月のFOMCで政策金利が据え置かれ、
年内利上げの可能性が意識される内容となりました。
インフレの粘りや景気の底堅さを背景に、
市場では、米国の金利が高い水準で
維持されるとの見方が残りました。
そのため、円を買う理由よりも、
ドルを保有する理由の方が
強く意識されました。
市場にとって重要だったのは、
日銀が利上げしたそのものではありません。
利上げをしても、
なお円安が止まらなかったことです。
▼ 下旬:162円台到達、焦点は次のラインへ
米国の利上げ観測や
金利高止まりへの見方を背景に、
ドル円は161円台での推移が
目立つようになります。
160円台を超えた
さらに上の水準を試す展開となり、
月末30日に162円台へ到達。
162円到達後には、
再度日本政府からは為替の動きに対して、
適切に対応する姿勢も示されました。
ただ、その発言はこれまでの姿勢を
大きく変えるものではありませんでした。
そのため市場は、
「口先介入が出たかどうか」よりも、
「どの水準なら本当に動くのか」
を見始めています。
つまり、6月末時点の焦点は、
162円台の先に移ったといえます。
162円台が新たな警戒ラインになるのか、
それとも163円台まで探るのか。
あるいは、特定の水準ではなく、
円安のスピードを重視するのか。
市場は、政府・日銀の次の防衛ラインを
探る段階に入りました。
▼ 6月は、160円の意味が変わった月
2026年6月のドル円相場を整理すると、
「160円を超えたあと、
市場が次の防衛ラインを探り始めた月」
といえます。
160円はもはや絶対的な天井ではない。
むしろ市場は160円を、
「これから守られるライン」ではなく、
「すでに通過したライン」として
見始めています。
ここに、6月相場の大きな意味があります。
為替市場では、一度破られた節目は、
次第に新しい前提へと置き換わっていきます。
160円を超えたこと自体よりも、
160円を超えても相場が戻らなかったこと。
そして、口先介入があっても、
市場がさらに上の水準を探り始めたこと。
この変化の方が重要です。
6月は、単に円安が進んだ月ではありません。
市場が160円を
過去のラインとして扱い始めた月でした。
その意味で、
7月以降のドル円相場は、
これまでとは一段違う水準感の中で
動いていくことになりそうです。
それではまた。
PPS代表 吉岩 勇紀
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この記事は2026年7月3日配信のメールマガジンとなります。
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