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日銀が利上げしても、円安は止まらない|PPSメールマガジン vol.383 2026.06.29 #メールマガジン

日銀は6月の金融政策決定会合で、
政策金利を0.75%から1.00%へ
引き上げました。

政策金利が1%台になるのは、
1995年以来のことです。

長く低金利が続いた日本にとって、
大きな転換点のひとつといえます。

利上げ後のドル円レートは、
160円台からやや円安に進んでおり、
現在は161円台です。

日銀が利上げしたにもかかわらず、
なぜ円安は止まらなかったのでしょうか。

今回は、その理由を整理します。

▼ 利上げは円高材料になる

まずは基本的な仕組みです。

中央銀行が政策金利を上げると、
その通貨で運用したときの利回りが高くなります。

そのため、海外の投資家から見ると、
金利が高い通貨は保有する魅力が増します。

日本の金利が上がれば、
円を買う動きが出やすくなる。

これは基本的には正しい考え方です。

実際、日銀の利上げは、
円安を抑える材料のひとつになります。

ただし、為替は単純に
「利上げしたから円高」
と動くものではありません。

▼ 利上げは織り込み済みだった

為替市場は、
発表された事実そのものよりも、
事前予想との差に反応します。

たとえば、
市場が予想していない中で、
突然、日銀が利上げを発表すれば、
相場は大きく動きやすくなります。

しかし、今回の利上げは、
事前にかなり予測されていました。

物価上昇や賃金動向、
円安による輸入物価への影響などを背景に、
日銀が政策金利を1%へ引き上げる見方が
すでに広がっていたのです。

つまり、今回の利上げは、
市場にとって大きなサプライズとは
なりませんでした。

▼ 円安は高止まり

もうひとつ重要なのは、
為替相場の水準です。

今回の利上げ前から、
ドル円相場はすでに高い水準で
推移していました。

今の円安は一時的な動きではなく、
長く続く構造的な流れになっています。

日本が利上げしたとはいえ、
政策金利は1%です。

さらに、今回の引き上げ幅は0.25%でした。

金利は大きく引き上げるほど、
円安を抑える効果は強まりやすくなります。

しかし、その分、
企業の借入コストや住宅ローン負担が増え、
景気を冷やすリスクも高まります。

そのため、日銀としても
一気に大幅な利上げを
進めることは簡単ではありません。

一方で、0.25%ずつの慎重な利上げでは、
為替の流れを一気に反転させるほどの
材料にはなりにくい面があります。

そして、米国の政策金利は、
なお日本よりもかなり高い水準にあります。

つまり、日本が少し金利を上げても、
日米の金利差が大きく縮まったわけではありません。

この構造が続く限り、
円安圧力は簡単には消えないのです。

▼ 米国は利下げしなかった

さらに、為替を見るうえでは、
日本側だけでなく、
米国側の金利見通しも重要です。

そして、今月のFOMCでは、
FRBは政策金利を据え置きました。

新しいFRB議長のもとで
行われた初のFOMCでしたが、
政策金利は3.50%から3.75%の
範囲に維持されました。

米国はインフレへの警戒を残しており、
金利が下がりにくい見方も続いています。

もし、米国の利下げ方向が明確になれば、
ドル高圧力は弱まりやすくなります。

しかし、今回のFOMCでは、
そこまで踏み込んだ
メッセージは示されませんでした。

つまり、日銀が利上げしても、
米国の政策金利が下がらなければ、
日米金利差は大きく縮まりません。

その結果、
円安圧力が残りやすくなるのです。

▼ 市場が見ているのは「次の一手」

今回の利上げで、
市場が注目したのは、
利上げそのものだけではありません。

むしろ重要なのは、
日銀が今後も利上げを続けるのかどうかです。

今回の1%への利上げが、
一度きりの対応なのか。

それとも、
物価や為替の状況を見ながら、
さらに利上げを進めるのか。

市場はそこを見ています。

もし日銀が、
利上げを進めるという見方が強まれば、
円高方向への材料になります。

しかし、今回の日銀会合だけで、
連続的な利上げが強く意識されるほどの
見方は広がりませんでした。

▼ 円安を止めるには日銀だけでは足りない

利上げは、
円安を抑える材料にはなります。

ただし、
それだけで為替の流れを変えるほど、
今の円安は単純ではありません。

市場の動向や海外との金利差が
複雑に絡んでいるためです。

また、米国側では何が起きているのか。

今回のFOMCでは、
新しいFRB議長のもとで、
市場がFRBの見方を改める動きも出始めています。

次回は、米国の金利見通しと
市場が警戒している点を整理します。

それではまた。

PPS代表 吉岩 勇紀

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この記事は2026年6月22日配信のメールマガジンとなります。
当時の状況による内容であるため、現在の状況とは異なる場合がございます。

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