PPSメールマガジンvol.38「9兆円規模の為替介入とその限界は」 2022.11.10 #メールマガジン

こんにちは。
PPSの吉岩です。

今回は為替介入について、
少しお話をします。

日本政府の円買い介入、
いわゆる為替介入ですが、
10月の実績が発表されました。

 9月 2.8兆円
10月 6.3兆円

9月に比べおよそ2倍の介入額となり、
この2ヶ月で9兆円規模の額が使われました。

6.3兆という額も過去最大の額です。

日本政府もそれだけ、
円安抑制に強い姿勢を見せ始めたと言えます。

このメルマガを何度もご覧の方には、
既にご存知の通りとなりますが、

日銀は円安の状況でも金融緩和の姿勢を崩さず、
政府は現在で円安の抑制を行っています。

ここで、日銀と政府の方針に矛盾を感じさせますが、
政府の目的は、あくまでも投機筋や海外勢への牽制であり、
円安での景気回復という点はどちらも同じ方針です。

前回152円での為替介入後から148円に戻り、
週末の米国FOMCと雇用統計に合わせ、
150円に達する様な動きを見せております。

次回も150円到達後の加熱化を
介入で一時的に冷ますといった流れが続きそうです。

ですが、毎月兆単位の額が使われ、
原資や回数にも不安がありますが、
過去の財務官の発言では、
「原資は無限にある」との事でした。

実際、為替介入などの対策から用意された外貨資産、
「外為特会」は1兆2380億ドル、
日本円に換算すれば180兆円と言われています。

これだけの額があれば、
もっと日本国内のために使うべきとも思ってしまいますが、
実際はすべてドルで持っているわけでなく…、
米国債などの債券での保有がほとんどなのです。

もし、国内の経済活動に還元するならば、
米国債もドルもすべて円に戻す必要があります。

これらを日本がまとめて売ってしまえば、
アメリカ経済にも影響が生まれるため、
両国での了承が必要です。

日本が介入や財源確保のために米国債を売り、
米国債に影響が起きたとなれば、
それを黙って見ているわけがありません。

現在、アメリカは為替介入に対しては理解を示していますが、
今後の動向により、介入に反発が起きる場合もあるのです。

原資は無限という発言は、
あり得ない話でもないかもしれませんが、
それは今の状況での話であり、
今後も続けられるかはアメリカ側の意向次第とも言えますね。

また、今回の介入では、
以前1ドル100円前後の時のドル買い介入で得た資金を、
150円で売ったことで、2兆円ほどの利益が出たとの事です。

日本は過去、リーマンショックや、
震災の影響で動いた円高を抑制させるため、
円売りとドル買いでの為替介入を行った実績があり、
その時の資産が使われたことになります。

そういった意味では、
介入という明確な目的から差益で利益を作れたのは、
ある意味で良いタイミングだったかもしれません。

こういった状況もあり、
国会でも円安利益を国民への還元や、
財源としての使用を提案する政党もありますが、
「過去に事例はない」ことを理由に
現首相や財務省は否定的な反応を示しております。

なので、円安効果で利益が生まれたとしても、
この利益が日本経済や生活に還元されるという点は無さそうです。

PPS.Llc代表 吉岩 勇紀

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この記事は2022年11月2日配信のメールマガジンとなります。
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