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日本で“現金が安心”になった歴史|PPSメールマガジン vol.368 2026.05.01 #メールマガジン

前回、なぜ欧米では投資が
当たり前になりやすいのかを整理しました。

では、日本はなぜ、
ここまで現預金中心の持ち方が
続いてきたのでしょうか。

これは、日本人が保守的だからでも、
投資を知らないからでもありません。

むしろ長い間、
現金や預金を重視することには
それなりの合理性がありました。

今回は、日本で“現金が安心”と
考えられるようになった背景を整理します。

▼ 現金で持つことには、理由があった

今の感覚で見ると、預金だけでは増えにくく、
資産形成としては不利に見えるかもしれません。

ですが、日本では長く
値動きのある資産を持つよりも、
現金や預金で守る方が
安心だと考えるだけの背景がありました。

つまり、現預金中心の選択が
間違っていたわけではなく、
その時代に合った選択だった面があります。

だからこそ、日本の現預金偏重は
単純に遅れているでは片づけられません。

▼ バブル崩壊が投資への見方を変えた

大きな転機になったのが、バブル崩壊です。

当時の日本では、
不動産や株式は持っていれば価値が上がる
という空気がありました。

ところが、バブル崩壊によって
株や不動産の価格は大きく下落。

その結果、資産は増えるものという感覚よりも、
下手に動かすと減るという感覚が強く残ることになります。

投資をしていなかった人にも、暴落のニュースを見て、
「投資は危ない」という印象を強く残しました。

この記憶は一時的なものではなく、
投資に対する警戒感の土台になり、
現金で持つことへの安心感を強めるきっかけになりました。

▼ デフレ時代には、預金を持つ意味があった

さらにその後、
日本では長いデフレの時代が続きました。

物価が上がりにくい、
あるいは下がる環境では、
無理に資産を増やさなくても、
現金の価値は相対的に守られやすくなります。

そして、バブル崩壊後の
投資への警戒感も残っており、
わざわざ投資に踏み出す理由も強くありません。

金融教育や制度整備の面でも、
欧米ほど投資が生活に近いものには
なっていませんでした。

そのため、預金は消極的な選択ではなく、
現実的な防衛策だったのです。

不景気のなかで、
まずは減らさないことを優先。

そうした考え方が強まり、
預金や保険といった守りの選択肢が
重視されていったのです。

▼ 定期預金で資産が増えた時代もあった

かつての日本では、定期預金の金利が高く、
預けているだけで資産が増える時代がありました。

今の感覚では想像しにくいですが、
預金そのものに増やす力が
ある程度あったわけです。

日本人が貯金好きと言われる背景には、
こうした時代の記憶も少なからずあるでしょう。

ただし、その時代もバブル崩壊後の
金融政策の変化によって終わり、
預金は増やす手段というより、
守る手段へと性格を変えていきました。

▼ 円への信頼が、現金志向を支えていた

円で給料を受け取り、
円で生活し、
円で貯めておく。

この流れに大きな違和感を持つ人は、
ほとんどいなかったはずです。

こうした感覚が強かったからこそ、
外貨や海外資産に目を向ける必要性も
広くは意識されませんでした。

低金利であっても、
円で持っておけばよいという安心感。

これが根強ければ、
日本における預金中心の資産管理は
ごく自然なものになります。

つまり日本は、
「現預金が好きだった」というより、
「現金で困りにくかった時代」が
長く続いていたとも言えます。

▼ “現金の安心”には歴史があった

日本で現金が安心と考えられてきたのは、
単なる気質の問題ではありません。

バブル崩壊の記憶があり、
デフレの時代が長く続き、
円への信頼も強かった。

そうした背景の中で、
現金や預金を重視する行動が
自然に定着していきました。

だからこそ、今の現預金偏重も
単純に否定できるものではありません。

次回は、そうした前提が
今もそのまま通用するのか。

現在の環境とあわせて整理します。

それではまた。

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この記事は2026年4月24日配信のメールマガジンとなります。
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