前回の続きで、今回はインフレ再燃による
金利や金融市場への影響を整理します。
一見すると、
「原油高で警戒が強まるのは当然」
と思えるかもしれません。
ですが、問題はそこだけではありません。
今回、やっかいなのは、
このインフレが市場の前提そのものを
揺らしてしまう点にあるからです。
▼ 市場は「利下げできる前提」で動いてきた
世界はこの数年間、
インフレ対策として、
政策金利を高く保ってきました。
近年は、インフレが落ち着き始め、
金利を引き下げていく方向へと流れが変わりつつありました。
市場も政府も、
金利低下を前提に動いてきた側面があります。
金利が下がれば、
企業は資金調達をしやすくなり、
金融市場にも追い風となるためです。
相場は、今の数字だけで動くのではなく、
次に何が起きるかという前提で動きます。
今回の市場も、
まさにその前提の上に成り立っていました。
▼ 原油高が、その前提を崩し始めた
ところが、
原油高によってインフレが再燃すると、
この前提が崩れます。
物価が再び上がるなら、
各国の中央銀行は簡単に金利を
下げられなくなるためです。
本来であれば、
景気を支えるために金利を下げたい局面でも、
インフレが残る限り動きづらくなります。
その結果、市場はこれまでの利下げシナリオを
そのまま織り込みにくくなります。
つまり、今回のインフレは
家計を圧迫するだけではありません。
市場が頼ってきた
『金利は下がっていく』前提そのものを
揺らす要因になっています。
▼ なぜ相場が不安定になるのか
相場が読みづらくなるのは、
単に悪材料が出たからではありません。
値動きの基準となっていた
「前提」そのものが崩れるためです。
たとえば、
株式市場は金利低下による支えを
見込みにくくなります。
債券市場では、
将来の金利低下を織り込みにくくなり、
利回りの見方が揺れます。
為替市場でも、
単純な景気見通しだけでなく、
「どの国がより金利を下げにくいか」
という視点が強まります。
たとえば、現在のドル円でいえば、
米国は利下げしづらい状況にあるため、
相対的に金利の高いドルが選好されやすくなっています。
つまり、今回のインフレは、
一つの材料が一方向に効くのではなく、
複数の市場に同時に
「前提の見直し」を迫る性質を持っています。
これが、今回の相場が不安定になり、
読みづらくなっている本質です。
▼ 「数字」より「前提」を見る局面
市場を見るとき、
つい注目しやすいのは
株価や為替のその日の動きです。
ですが、本当に見るべきなのは
その背後にある「前提」です。
今回は、原油高によってインフレが再燃し、
これまでの前提が揺らぐ形となりました。
このインフレ再燃が
どこまで広がるかは見極めが必要ですが、
市場はすでに、これまでの前提を
そのまま維持できなくなっています。
今の局面で重要なのは、
相場の上下を追うことではなく、
何を前提に上がっていた相場なのかを見直すことです。
今回は、その前提が原油高による
インフレ再燃で揺らいでいます。
だからこそ、
市場は読みづらくなっているのです。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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