近年、ウクライナや
中東情勢の緊張が報じられる中で、
地政学リスクが再び注目されています。
実は日本にも特有の
「リスク構造」があることをご存じでしょうか。
今回はその日本リスクを、
3つの視点から整理します。
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① 地理的リスク:位置と防衛の問題
日本は、アメリカ・中国・ロシア・朝鮮半島に囲まれた海上国家です。
この地理環境は、
平時には貿易の要衝として機能しますが、
有事には一転して「供給の途絶」という弱点に変わります。
エネルギーや食料の多くを輸入に頼るため、
海上輸送路(シーレーン)の安全が確保されなければ、
国内経済に直接的な打撃となります。
つまり、地政学リスクは「外交問題」ではなく、
“日々の暮らしに影響する経済問題”でもあるのです。
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② 経済的リスク:供給・貿易・通貨の依存
日本は製造業を中心に、
世界的なサプライチェーンに深く組み込まれています。
特にアジア地域への依存度が高く、
近隣国の政治・経済の混乱が、日本企業の活動にも直結します。
一方で、少子高齢化による社会保障費の増大、
税収減による財政赤字の拡大が続いており、
国として“支出が止まりにくい構造”にあります。
これが続けば、将来的には
増税・社会保障削減や通貨価値の低下という形で、
家計に負担が押し寄せる可能性があります。
インフレによる生活費の上昇、
年金の実質的な目減り、可処分所得の減少—。
経済の不均衡が、
少しずつ私たちの生活を圧迫しているのです。
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③ 通貨リスク:円の脆弱化と資産防衛
「安全通貨」と呼ばれる円ですが、
巨額の財政赤字・貿易赤字・人口減少の
三重苦によって、その地位は変わりつつあります。
経済不安が強く見えるようになれば、
円の信頼性が下がり、円の実質価値も減少します。
円安による物価上昇は家計を圧迫し、
可処分所得の減少を通じて生活全体に影響を及ぼします。
これは、国家の信用リスクが
“家計のリスク”へと直結している構図であり、
“働いてもお金の価値が減っていく”
という現象が起こり得ます。
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④ 備えるための3つの方向性
通貨分散:ドルやユーロなど、外貨建て資産の保有
預け先分散:海外銀行口座・海外への資産移動
実物分散:インフレに強い資産を一部組み入れる
地政学リスクは、「避ける」ことは難しくても、
「分ける」ことで守る力は確実に高まります。
日本は経済的に豊かでありながら、
四方を地政学リスクに囲まれた国でもあります。
こうした構造を理解し、
“国内だけに偏らない資産構成”を整えておくことが、
最も現実的なリスク対策になるのです。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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