ドル円市場は今、
政治と経済の両面で不確実性が高まり、
投資家心理が揺れ動く展開となりました。
「高市トレード」をきっかけに
一時153円台と急速に円安へ進みましたが、
今週に入り、ドル円は勢いを失い150円台へ。
円安の流れにいったん落ち着きが見えています。
なぜ円安トレンドが一服したのか。
今回は、日本と米国で同時に起きた
政治・経済の変化を整理し、今後の見通しを解説します。
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日本:政局の混乱がリスク回避を招く
今回の円安は、自民党総裁選で
高市早苗氏が勝利したことから始まりました。
高市氏の積極財政姿勢を受け、市場では
「緩和維持×財政拡張」への期待が強まり、
ドル買い・円売りが加速しました。
しかし、公明党の連立離脱や
首班指名を巡る混乱が浮上すると、政権不安が台頭。
市場が期待していたシナリオが薄れ、
リスク回避の買い戻しやポジション調整が発生しました。
結果的に円高・株安が進み、
期待先行で走っていた円安相場に、
政局リスクというブレーキがかかった形です。
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米国:政府閉鎖と米中貿易摩擦の悪化
一方、米国では政府閉鎖が長期化しています。
経済指標の発表も停止されており、
米経済の実態を把握できないことが
投資家心理を冷やし始めました。
加えて、米中関係の緊張再燃や追加関税報道が相次ぎ、
世界的にリスク回避ムードが強まっています。
実体経済を把握できない状況が続くなか、
市場はドル買いを手控え、
ドル売り・円買いの巻き戻しが入りやすい展開となっています。
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今後の見通し:乱高下の可能性と注目材料
ドル円は「高市トレード」での急騰と、
政局・米国不安による巻き戻しという二段階の展開です。
日本では20日の首班指名が焦点となり、
当初の予測通りに高市氏が正式に首相となれば、
再び円安期待が戻る可能性があります。
一方、米国では10月FOMCに向け、
利下げ観測が強まっていますが、
実体が見えない中では反応しづらい相場となりそうです。
さらに、政府閉鎖の長期化や米中関係の行方も、
相場の方向感を定めにくくしています。
現在の為替市場は、
「政局・貿易・市場心理」の三つ巴の不確実性に包まれており、
投資家心理は非常に敏感な状態です。
短期的な波乱も想定されるため、
一つひとつの発言や報道が相場を大きく動かす可能性があります。
今後の展開を引き続き注視していきましょう。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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この記事は2025年10月17日配信のメールマガジンとなります。
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