前回は、高市早苗氏の総裁就任からの
「市場の初動」についてお伝えしました。
その後もドル円は一時153円台、
日経平均も史上最高値圏に達し、
市場では「高市トレード」が広がっています。
今回は、この動きの背景にある
“市場心理”をもう少し掘り下げてみます。
まず、市場がここまで注目する背景には、
高市新総裁が掲げる「積極財政」への期待があります。
あらためて説明すると、積極財政とは、
景気を刺激するために政府が支出を拡大し、
経済の成長を後押しする政策方針です。
具体的には、公共投資の拡大や減税、
補助金制度の強化などを通じて、
企業活動と個人消費を活性化させようとするものです。
近年の日本の政策は、
財政規律(借金を増やさないこと)を
重視する流れが強く、政府支出の拡大には慎重な姿勢でした。
高市氏は、物価対策や成長投資のための歳出拡大を
「将来の財源を生む投資」と位置づけ、
必要なら赤字国債の発行(いわゆる借金)も
いとわない姿勢を示しています。
この姿勢が「日本経済の再成長への転換点」
という期待を生み、市場の期待感を高めているのです。
為替市場でも、
財政拡大による国債増発懸念より
金融緩和継続への安心感が勝っており、
円売りが優勢です。
つまり、市場は「景気刺激 > 財政リスク」
という構図で動いているのです。
この動きは、かつての安倍元総理による
アベノミクス初期とよく似ています。
当時も、「大胆な緩和」「機動的な財政出動」
「成長戦略」の“三本の矢”が掲げられ、
デフレ脱却への期待が株式市場を大きく押し上げました。
海外投資家が日本市場に参戦し、
市場に追い風となりやすい環境が当時と同様に起きているのです。
ただし、今の上昇が
「期待先行」であることも確かです。
期待が先行する市場は、
「現実」とのギャップが見えてくると、
一瞬で冷める環境でもあります。
政策方針が期待外れだった場合や、
実行に時間がかかっているなど、
今の期待感に反する材料が出てくれば、
市場は失望売りに転じる可能性も生まれます。
また、積極財政は
インフレ圧力を強めるリスクもあり、
円安・株高の単純な今の構図が長く続くことも考えにくいです。
ですが、もしも政策転換によって、
日本経済が押しあがるデータが見られれば、
期待感は安心へと変わり、円安・株高の安定といった構図もあり得ます。
結局のところ、今の高市トレードは
“投資家の期待がどこまで持続するか”
を試す相場と言えるでしょう。
それではまた。
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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