PPSメールマガジンvol.269「ドル円が円高に戻った“本当の理由”とは?」 2025.04.25 #メールマガジン

4月に入り、ドル円相場は再び142円台と
円高が進行しています。

この水準は昨年9月とほぼ同じであり、
当時は日米金利差への注目から、円高傾向が強まっていました。

今回、円高の背景にあるのは、
主にトランプ大統領による相互関税の影響です。

しかし、それだけではなく、
円という通貨の立ち位置自体も変化しつつあるように見えます。

そもそも、これまでのドル円相場では、
円安の側面が色濃く出ていました。

その最大の要因は日米間の金利差です。

日本の金利は長らく低水準に抑えられており、
反対にアメリカは利上げを続けてきたことで、
日米の金利差は大きく開いていました。

この構図の中で活発だったのが
「円キャリートレード」です。

投資家が金利の安い円を借り、
高金利のドルなどに投資する動きが拡大し、
それが円安圧力を高めていました。

同時に日本株にも資金が流れ、株高の一因にもなりました。

そして、昨年から日本の利上げ、
米国では利下げの動きが見え始めました。

これにより、日米金利差の縮小が意識され、
円安一辺倒の流れが弱まると見られました。

しかし、ここにきて、
金利差よりも関税の影響が強まった結果、
「リスクオフ」の流れが濃くなっています。

関税や地政学的リスク、アメリカ経済への懸念が広がる中で、
投資家の心理は徐々に「リスクオン」から「リスクオフ」へと傾いているのです。

円安一辺倒だった時期では、高いリターンを求めて積極的にリスク資産が選ばれ、
高金利通貨に資金が集まるリスクオンの流れでした。

一方、リスクオフの局面では、安全資産とされる円への需要が高まります。

経済に対する不安や不透明感が強まるほど、
リスクを避けて安定した資産に資金が逃避する傾向があるためです。

現在のドル円相場は、まさにこうした「リスクオフ」の心理を反映し、
ドル売り・円買いの流れが際立っています。

さらに、トランプ氏が円安に対し、
是正を要求する場面も見られており、
今後は、昨年のような円安水準に進みにくいと見られます。

こうして見ていくと、今の円高は一過性のものではなく、
構造的な要素が複数絡んでいます。

金利差の変化だけではなく、
米経済懸念や為替政策への圧力が、
投資家心理を動かし始めているのです。

今後、米国の関税政策が落ち着くまでの間は、
こうした円高の地合いが続きやすいと見る向きも増えています。

従来の「金利差中心」だった視点から、
「経済の先行き」や「需給の変化」へと、
市場の注目が確実にシフトしているようです。

ドルと円の関係は、新たなフェーズに入ったのかもしれません。

今後もその変化を、丁寧に追っていきたいと思います。

それではまた!

PPS.Llc代表 吉岩 勇紀

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この記事は2025年4月18日配信のメールマガジンとなります。
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