先週のドル円相場は、相互関税を巡る問題から、
一時142円台まで円高が進行しました。
初期の発表では、全面的な関税導入が示唆されていましたが、
その後、再び方針の転換が示されました。
具体的には、次のような対応です。
①「中国以外の関税一部停止(90日の猶予)」
②「相互関税の対象から電子機器を除外」
トランプ氏の発言が表面的に二転三転しているようにも映りますが、
裏を返せば、交渉の余地を残す姿勢とも捉えられます。
また、関税導入に対して、アメリカ国内からの強い反発があったことも、
方針修正の背景にあると考えられます。
というのも、スマートフォンなど多くの電子製品はアメリカ国外の拠点で生産されており、
関税が課されれば消費者価格が上昇し、企業の収益を圧迫するリスクがあるからです。
もしも、このまま関税が発動されていれば、
米国内の物価は上昇し、米企業の収益にも影響が出ていた可能性は高いでしょう。
自国産業の保護を目的とした政策が逆に自国経済に負担をかける
その矛盾が今回の修正につながったと見る向きもあります。
さらに、関税発表の余波で、米国債の利回りが急上昇しました。
安全資産として評価される米国債が売られる動きが目立ち、
将来の米経済に対する不安が背景にあると言えるでしょう。
また、個人投資家だけでなく、
各国や金融機関などの大口保有者にも波及していると見られます。
米国債の利回り上昇は、アメリカの財政圧迫にもつながりかねません。
こうした状況を鑑み、
関税発動に一時的なストップがかかった可能性も否定できません。
結果として、市場には一時的な安心感が広がり、
株価はやや持ち直しました。
しかし、
今回の関税の停止は“猶予”でしかなく、完全な撤回ではありません。
将来的には再び発動される可能性が高く、
再発動の際には、今回と同様の影響を市場に及ぼすおそれもあるでしょう。
また、電子機器の除外についても、
「別関税の方針」と完全に除外するわけではないことも発言されています。
いずれにせよ、関税問題は今後も市場に大きな影響を与えるでしょう。
そして、ドル円などの為替相場も、
昨年とは異なる局面に差し掛かりつつあります。
次回は、いまのドル円がどんな局面にあるのかを、
より踏み込んで見ていきます。
それではまた!
PPS.Llc代表 吉岩 勇紀
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