PPSメールマガジンvol.251「過去最大の経常収支と、為替への影響」 2025.02.21 #メールマガジン

こんにちは、
PPSの吉岩です。

2024年の経常収支が29兆2615億円の黒字となり、
過去最大を更新しました。

この結果は、日本が海外との取引で
大きな利益を得ていることを示しています。

経常収支とは、
日本が海外とやり取りするお金の流れを示す指標です。

よく貿易収支と混同されることがありますが、
両者には違いがあります。

◆貿易収支とは?
 →モノの取引(輸出と輸入)の収支
 →輸出が多ければ黒字、輸入が多ければ赤字

◆経常収支とは?
 →貿易収支に加えて、海外投資などの収益も含む
 →海外からの配当や利息収入が大きな要素

今回の経常黒字の大部分は、輸出による貿易黒字ではなく、
日本企業や投資家が海外で得た利息や配当などの収益によるものです。

通常、経常黒字が拡大すれば、
日本企業や投資家が海外で得た外貨を円に換えるため、
円の需要が高まり円高につながります。

しかし、現在は日米の金利差が大きく、
この金利差が円安圧力となり、
経常黒字による円高要因を相殺しています。

また、今回の経常黒字の要因が貿易黒字ではなく、
海外投資からの収益である点も、
円高につながらない理由の一つです。

企業は海外で得た利益を円に換えず、
そのまま海外で再投資するケースが多く、
輸出企業も為替リスクを避けるために利益をドル建てで保有することが一般的です。

そのため、経常黒字が拡大しても、
円が買われる動きにはつながりにくい状況が続いています。

さらに、現在の為替市場では、
日銀の金融政策が変わらない限り、円安基調は続くとの見方が主流です。

今回の経常黒字の拡大は、
日本経済にとってポジティブな要素ですが、
それだけで円高につながるわけではないことが改めて明らかになりました。

しかし、今後の動向には注意が必要です。

日米金利差の縮小と経常黒字の影響が重なると、
円高要因として作用しやすくなる可能性もあります。

また、今回の経常黒字は、
日本企業や投資家が海外で利益を得た結果です。

そのため、国内の景気や物価動向に直接影響するものではなく、
効果を実感できるものではないと言えます。

国内経済の動向とともに、
今後の為替動向を引き続き注視していく必要がありそうです。

PPS.Llc代表 吉岩勇紀

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この記事は2025年2月14日配信のメールマガジンとなります。
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