PPSメールマガジンvol.108「YCC修正は何が変わるのか」 2023.08.07 #メールマガジン

こんにちは、
PPSの吉岩です。

先週末、日銀の金融政策決定会合において、
YCC(イールド・カーブ・コントロール)の
修正が発表されました。

日銀は金利操作を柔軟に運用するため、
10年債の長期金利上限を
「0.50%以内」から「0.50%を目処」として、
上限を1.0%に変更しています。

これはどういうことかと言いますと、
これまで日銀は上限0.50%が超えそうになる度、
指値オペと呼ばれる国債買い入れを行うことで、
0.50%以内に抑える金利調整を行っていました。

今後は、0.50%を水準としながらも、
上限に余裕を持たせ、
0.5〜1.0%の間で金利を調整するという形になります。

一見すると、昨年12月の調整と同じく、
事実上の利上げのようにも見えます。

ですが、目処や柔軟な運用という
日本語特有の曖昧な表現を用いて、

「1.0%に達する前でも調整を行う」
「0.5%を超えても様子を見る」というように、
どの状況でも調整ができる環境に変えたのです。

この長期金利は、これまで海外の投機筋により、
0.5%上限を何度も超えそうになる場面が多くありました。

日銀はその度に指値オペを行い、
日銀が持つ国債保有量は
全体の半分程度という状況にもなっています。

今回の修正で、日銀は今後どの段階で
オペを行うかの判断も難しくなるため、
投機狙いの売りも抑える効果も狙っているかもしれません。

植田総裁は会見で、
「長期金利が0.5%を超える余地を
 前もって作っていこうというための柔軟化」
と述べています。

そして、
「粘り強く金融緩和を続ける必要がある」として、
緩和継続の姿勢を改めて示しました。

つまり、金融緩和はまだ続くということですが、
今回のYCC修正はいずれ緩和政策から
シフトするための最初の準備となる可能性もあります。

さて、この発表前後で
ドル円は乱高下を起こしました。

本日、月曜朝の時点では、
141円台の円安傾向という流れです。

昨年と同じく「事実上の利上げ」と市場が捉え、
円高に振れるという予測が強かったと思います。

ですが、会合前の観測報道や、
会見での植田総裁の発言から、
YCC修正騒動が一旦落ち着いたという印象が強いのが、
現在の為替市場の状況なのかもしれません。

そうなれば、
円安の根本となる日米金利差があるため、
今後はまた円安に振れる可能性も大きくなります。

その他、本日朝の時点で長期金利は0.6%台まで上昇し、
臨時オペも早速実施され、
為替には円安に影響を受けたとの報道もあります。

今後も国債市場や長期金利の動きによって、
為替にも影響が起きるでしょう。

また、変化がありましたらお伝えしたいと思います。

それではまた!

PPS.Llc代表 吉岩勇紀

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この記事は2023年7月31日配信のメールマガジンとなります。
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