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円安・インフレ時代を乗り越える方法 | 初心者向け分散投資の始め方

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2024.12.13

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円安とインフレの進行で、家計に大きな負担がのしかかっています。この状況で、未来の家計を守る方法を模索している方も多いのではないでしょうか?本記事では、初心者向けに円安やインフレの影響を解説し、それに対抗する分散投資の具体的な方法をわかりやすくご紹介します。

まずは円安についておさらい

円安の概要

円安とは、日本円の価値がドルなど他の通貨に対して下がる現象を指します。例えば、1ドルが100円の場合、100円で1ドルと交換できますが、120円になった場合は、20円多く支払わなければ同じ1ドルを購入できません。そのため、円安になると、海外から輸入される商品やサービスが高くなり、原材料やエネルギーの価格上昇を通じて国内物価に影響を及ぼします。また、海外旅行では渡航費や滞在費が増加します。一方で、輸出企業は競争力を高めやすくなり経済成長にプラスとなる面もあるため、円安にはメリットとデメリットの両面があります。

円安が起こる主な要因とは?

貿易赤字

日本は海外からエネルギーや原材料を多く輸入していますが、輸出よりも輸入が増えると、外国通貨(ドルなど)を使う量が増えます。その結果、日本円を売る動きが増え、円の価値が下がって円安になります。このような「輸入が輸出を上回る状態」を「貿易赤字」と言い、円安を進める要因の一つになります。

金融政策

世界各国の中央銀行は、経済を安定させるために金利やお金の流通量を調整しています。日本の金融政策は低金利政策が続いていますが、アメリカなど他国の政策金利が上がると、日本との金利差が広がります。その結果、円を売ってドルを買う動きが強まり、円安の原因になります。

為替市場の動き

為替市場では、投資家の動きや経済の状況が通貨の価値に影響を与えます。アメリカ経済が好調が投資家に伝わるとドルの需要が上がり、相対的に売られて円安に動きます。また、日本経済の変化も円の売買に大きく関わり、経済動向は通貨の価値に大きく関係しているのです。

現在の日本の状況

平均レート(ドル円) 最高値 最安値
2020年 106.73円 112.18円 101.60円
2021年 109.89円 115.45円 102.60円
2022年 131.56円 150.48円 113.63円
2023年 140.62円 151.80円 127.22円
2024年(11月時点) 151.55円 161.94円 140.34円

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日本では、2022年以降、ウクライナ情勢の悪化による原材料やエネルギー価格の高騰、そして世界各国との金利差の拡大が原因で、1ドル140〜150円台の円安が続いています。この長期的な円安は、輸入品の価格を押し上げ、多くの商品が値上げされる原因となっています。その結果、家計の負担は大きくなり、値下げが当たり前だった「デフレの時代」から、値上げが続く「インフレの時代」へと日本の環境は大きく変化しています。

インフレと円安の関係性

インフレとは、物価やサービスの値段が持続的に上昇することを指します。その要因には、円安による輸入品価格の上昇や世界情勢の変化(紛争などによる原油価格の高騰)、さらには経済政策(金融緩和や補助金削減)などが含まれます。円安とインフレは必ずしも連動するわけではありませんが、円安が長期化すると、輸入品価格の上昇が製造や流通コストに波及し、物価全体を押し上げる要因となります。そのため、円安とインフレは互いに影響し合う切り離せない関係にあると言えます。

これからの日本もインフレは続く?

日本は「年間2%の物価上昇」を目標とする金融政策を採用しており、これが変わらない限り、物価は徐々に上がり続けると予想されます。現在1,000円の商品にも年2%のインフレが続いた場合、10年後には約1,219円になる計算です。円安も物価上昇の要因ですが、日本の政策も物価上昇が進むようにコントロールされているため、将来のインフレは避けられない現実でもあります。

インフレから資産を守るには

物価上昇が続く環境に備えるためにも、家計の見直しだけでなく資産を運用する選択も必要です。インフレに強い資産運用することで、物価上昇に対応した資産形成が可能です。また、リスクを分散しながら資産を守る運用を検討することも、将来の生活を安定させるためのカギとなります。

円安・インフレ環境で弱い資産は?

物価上昇2%が毎年続いた場合の資産の目減り

現金や預金は安全性が高い資産と考えられがちですが、インフレや円安が続く環境では、むしろ価値が下がりやすい資産とされています。これは、インフレによって物価が上昇すると、同じ金額で購入できる商品やサービスの量が減り、実質的な資産価値が低下してしまうためです。たとえば、現在1,000万円を持っていても、物価の上昇が続けば、その価値は将来的に500万円相当にまで目減りする可能性があります。

さらに、日本の預金金利は低金利にとどまっているため、預金利息ではインフレによる物価上昇に対応できません。このような状況では、現金や預金をそのまま保有しているだけでは資産の価値を維持することが難しくなります。そのため、インフレに強い資産を活用した運用や、外貨建て資産や金などを活用した資産分散が必要となってきていると言えます。

インフレに強い資産を作る方法

インフレに対抗するためには、さまざまな種類の資産を持つことが対策になります。まず、株式や債券などの有価証券は、利回りを得られるため、インフレによる資産価値の目減りを防ぐ有効な手段です。特に、成長性の高い国や企業の株式は、物価の上昇に伴い企業の収益が増加しやすく、価値が上がることが期待されます。

また、金や不動産といった現物資産も選択肢として挙げられます。これらはインフレに伴い価値が上昇しやすい特徴があります。このように、資産を多様化し、株式や債券、金、不動産などインフレに強い資産を取り入れることで、資産価値を守りながら将来に備えられます。

円安に備える「外貨預金」「海外預金」

円安への対策として、円預金を外貨預金や海外預金に移すことは、円の価値下落を補う方法です。外貨建ての資産を保有することで、円安時には資産の価値が相対的に上昇するため、円の購買力を維持する効果が期待できます。ただし、外貨運用には為替リスクがあります。外貨預金を始めた時期から円高に進んだ場合、外貨の価値が目減りする可能性があります。そのため、円に戻すタイミングの見極めも求められます。

また、海外預金も選択肢の一つに挙げられます。海外の銀行は日本の金融機関に比べて高い金利を提供する場合が多いですが、安全性を確保するために信頼性の高い金融機関かを判断し、選択しなければなりません。外貨預金や海外預金を活用する際は、利回りだけでなくリスクも考慮し、バランスの取れた運用を心がけることが求められます。

資産を分散する際の注意点

資産分散は、資産全体の価値を守るための効果的な手段ですが、適切なバランスを保ちましょう。円安対策として資産の半分以上をドルに替えるような極端な運用では、為替が円高に進んだ場合、大きな損失を被る可能性があります。そのため、リスクを分散しながら慎重に運用することが求められます。

投資・資産運用する際の条件として、生活で必須となる資金は、現預金として確保しておくことが基本です。そして、老後の生活資金や当面使う予定のない余剰資金は、外貨資産や株式、不動産などへの分散を検討するのが良いでしょう。無計画な資産分散はかえってリスクを高めるため、資金の使い道やタイミングを考慮した分散計画を進めましょう。

資産分散を始めるためのステップ

資産分散を始める際には、計画的かつ段階的に進めていきましょう。以下のステップに従って、無理のない形で資産分散を進めていきましょう。

①資産構成の把握と見直し

まずは、自分の総資産と収支状況を確認しましょう。現預金の割合や、投資に回せる余裕がどれくらいあるかを把握することが大切です。現在の資産構成を明確にすることで、外貨や有価証券、不動産などの多様な資産に分散できる運用額が見えてきます。

自身の収入状況と預貯金を把握

資産運用に回せる余裕のある資金を把握

外貨建て資産(外貨預金や外国株式・債券など)にどれだけ割り当てるか

②お金の知識を深める

資産運用や投資は何も考えずに進めてしまうと、大きなリスクを負うケースや資産を減らしてしまうことも少なくありません。投資商品にはそれぞれ特性があり、何も知らずに始めるとリスクを過小評価し、大きな損失を招く可能性があります。株式や債券、不動産、外貨預金などの特性を学び、リスクとリターンを理解することが重要です。また、不動産投資や海外銀行の利用など、ハードルが高いと感じる運用方法については、専門家のアドバイスを活用するとよいでしょう。これにより、リスクを軽減して始められます。

③資産分散の実践

資産分散は、資産全体の価値低下を抑えるために効果的な方法です。ただし、いきなり多数の商品の運用を始めると管理が難しくなり、思わぬリスクを抱える可能性があります。そこで、まずは全て円預金で持っている場合を想定し、資産分散を始める第一歩としての配分を以下に紹介します。

初めて資産分散を始める際の運用例

慣れてきたら、他の資産運用商品にも目を向け、円預金の割合を少しずつ減らしていく形が良いでしょう。重要なのは、自分のライフスタイルや家計を無理なく維持できる範囲で進めることです。

まとめ

円安やインフレが進むこれからの日本では、インフレや円安にも対応した資産運用の必要性が出てきています。現預金だけに依存するのではなく、外貨や有価証券、不動産などを活用することで、リスクを分散しながら将来の家計を守る形が築けます。弊社では、資産形成に役立つ海外銀行口座の開設をサポートしています。書類の準備から銀行選びまで、専門スタッフがしっかりとサポートしますので、初めての方でも安心して海外預金を始められます。外貨預金の分散をお考えの方は、ぜひ他の記事もご覧ください。