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資産形成の基本知識と考え方|重要性と具体的な方法を解説

PPS.Llc

2024.07.17

貯金だけではお金を増やせない今の時代、人生の大きな出費や老後の暮らしに備えるためには、「資産形成」の取り組みが重要です。このコラムでは、資産形成の基本を説明し、資産運用との違いにも焦点を当てながら具体的な考え方を紹介します。さらに、PPSが推奨する資産形成の方法も解説していますので、ぜひご参考ください。

資産形成とは

資産形成は、将来に向けて資産を築くための重要な取り組みです。老後資金や教育費用など、人生で待ち受けるライフイベントに対応するため、計画的な貯蓄と投資で資金を準備することが資産形成の目的となります。

資産形成と資産運用の違い

資産形成と資産運用は、ほぼ同じ意味で使われることが多いですが、実際にはそれぞれ異なる目的を持っています。資産形成とは将来の資産準備を目指す取り組みであり、資産運用は資産を最大限に増やす、もしくは守るためにお金を運用することが目的です。そして、資産運用は一定額以上の資金が必要とされるため、貯蓄に余裕がある段階で行われる手段です。言い換えれば、資産形成は資金を増やすための準備段階であり、その準備した資金をさらに増やす・守る手段が資産運用と言えます。

資産形成の目的

安定した資産を築くための基盤づくり

収入と支出のバランスを管理し、貯蓄を増やす

貯蓄と投資を活用して、将来必要となる資産の準備

資産運用の目的

資産形成で築いた資金を効果的に運用

投資を通じて資産を増やす行動

資産保全を目的とした分散投資

資産形成と資産運用は、個々の状況によって始めるタイミングが異なります。資産をゼロから築く必要がある人は、まず貯蓄を増やすための資産形成を始め、貯蓄が十分に積み上がった後に資産運用に進むことが適切です。一方、すでに貯蓄に余裕がある人は、資産形成と同時に資産運用を開始できます。

資産形成が大切な理由

不安の無い老後への備え

老後資金の準備は、資産形成で最も重要な目的の一つです。日本の平均寿命が80歳を超える中、将来的な年金受給額の減少や医療費の増加も予測されています。将来の不確実性に備えるためにも、資産形成を通じて十分な生活費を蓄えることが必要です。

家計負担の増加

社会保険料や税金の増加、インフレによる物価上昇は、家計の負担を年々増加させています。現在の収入で生活に問題がなくても、将来の増税や物価上昇によって預貯金が目減りし、老後の生活費が不足する可能性もあります。将来の負担増加に対応するためにも、積極的な資産形成でお金を増やす取り組みが重要です。

預金の限界

日本の預金は超低金利のため、利息でお金を増やすのはほとんど期待できません。2024年に入り、一部の金融機関では預金金利が上昇しているものの、それでも資産に大きな影響を与えるまでには至っていません。預金だけでお金を増やすのが厳しい時代であるからこそ、資産形成を始める重要性が高まっています。

資産形成を始めるにはいくら必要?

資産形成を行うために必要な最低金額はありません。今の暮らしを安定させるためや将来に備えるためなど、それぞれの目的に違いがあるためです。ただし、貯金に余裕がない状態で資産運用(投資)を始めることはおすすめできません。もし行う場合は、生活の負担にならない金額や当面使う予定のない貯金を基に始めましょう。

たとえば、貯金100万円から資産形成を始める場合

  1. 100万円の内、どれだけを資産運用に回せるか検討する
  2. 10万円(貯金の10%)を資産運用に回し、残りは緊急用資金として残す
  3. 毎月の収入の一部を積立投資を始める

100万円の貯金がある段階では、今後の人生で必要となる資金も考慮し、まだまだ貯金を増やすことが重要です。しかし、この段階では当面使わない資金も生まれるため、少額の積立投資などの資産運用を始めることを検討することもできます。

運用資金1,000万円が可能な場合

  1. 運用額も増やせるため、高いリターンも期待可能
  2. 一方でリスクも増えるため、慎重な選択が必要
  3. 目的により、資産の運用方法も検討

1,000万円以上の余裕資金を持っている場合は、資産運用を始めることをおすすめします。ただし、目的に応じた運用方法の検討が必要です。たとえば、老後の備えとして準備した資金の場合、資産を大きく減らさずに増やすことが重要視されるため、長期運用で増やすことが期待できる商品を選択することが重要です。また、円安など日本円のデメリットを抑えるために、外貨預金や海外資産に分散投資することも検討できます。

資産形成では何をやるべき?

資産形成の取り組みは投資を始めるだけでなく、目標設定や家計の見直しが一番の重要ポイントです。自身の資産構成や目的や収支状況を明確にすることで、資産を増やすことにもつながります。以下にやるべき内容をまとめました。

ライフプランと目標設定

まずは資産形成の目標を具体的に決めましょう。これは、老後資金の準備やライフイベントへの備えなど、個人の目標や必要性に応じて異なります。ライフイベントとは、結婚や出産、教育、旅行、マイホーム購入など、人生で起こる大きな出来事を指します。これらには多額の費用がかかるため、資金が必要になる時期や、現在の収支と貯蓄で足りるかを把握することが重要です。

家計管理

家計管理は、資産形成の基盤を築く上で極めて重要です。現在の収入と支出を把握し、月々どれくらい貯蓄できるかを明確にすることが第一歩となります。無駄な支出を見つけ、節約に努めることも資産形成にとって重要な行動です。

預貯金のバランス

貯金は多ければ多いほど安心感がありますが、ただ貯めておくだけではなく、用途をはっきりさせましょう。PPSでは、これまでの経験から生活費の約6ヶ月〜1年分を確保することを推奨しています。これは、緊急時の備えや急な出費に対応するための防衛資金としての役割を果たします。それ以上の貯金は、近々使う予定のライフイベントへの対応や、資産運用に回す資金としての活用を検討できます。

資産運用(少額投資)

資産形成の段階でまとまった資金がなくても、少額から積立投資を始めることが可能です。貯金と並行して進められ、長期投資によりリスクを抑えつつ資産を増やすことが期待できます。大きく資産を増やすのは難しい運用ですが、老後資金など長期間の資産形成には適しており、投資を試してみたい方にも向いています。

資産形成の段階から始められる資産運用

ここでは、資産形成の段階で始められる資産運用の商品や方法をご紹介します。どれも少額や毎月の積立で始められますが、それぞれリスクや注意点があります。また、リターンが高くお金が増えることを期待できる金融商品は、反面で資産を減らしてしまうリスクも持っている傾向があります。さらに、手数料や違約金などで運用結果以外に資産を減らす側面を持つものも少なからず存在します。収益や安全性だけでなく、商品の注意点をよく確認しましょう。

定期預金

定期預金は、銀行に一定期間お金を預けて利息を得られるため、資産運用として利用できます。銀行預金の魅力は、お金が減らない(元本割れしない)安全性ですが、日本の銀行は金利が低く、資産が増えづらいというデメリットがあります。こうした銀行金利は、国の経済状況や政策に左右されるため、海外では高金利の定期預金が可能な銀行も存在します。

外貨預金

外貨預金は、円をドルなどの外貨に換えて銀行に預ける方法です。メリットは、円預金よりも高い金利を得られる点です。しかし、為替変動の影響で預金額が減少するリスクがあり、入出金のタイミング次第では元本割れを起こす恐れもあります。また、外貨を円に戻す際には両替手数料が発生するため、手数料も考慮した運用を心がける必要があります。

国債(個人向け国債)

国債は、国が発行する有価証券(借用書)で、債券の一つです。少額から投資を始めることが可能で、定期的に利息が支払われ、満期時に元本が戻る仕組みです。国債は安全性が高く、低リスクで運用できますが、利回りはそれほど大きくありません。

保険商品

保険商品には、終身保険など解約や満期時に返戻金を受け取れるものや、保険会社が保険料を運用して利回りが得られるものなどがあります。これらの商品は資産形成に活用できますが、掛け捨てタイプよりも保険料が高く、元本割れを起こすリスクもあります。したがって、加入する前に各商品の特性をよく理解することが重要です。

投資信託

投資信託は、投資家から資金を集め、金融機関や専門会社がその資金を株式や債券などに運用する方法です。投資信託の魅力は、少額で投資を始められる点ですが、投資商品であるため、増える保証はなく、減るリスクもあります。しかし、長期間投資することでリスクも緩和されるため、少額でも長期間続けることでリターンを得られる可能性は高まります。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、株式や投資信託で得られた利益が非課税となる制度です。NISA専用の口座を開設し、その口座内での投資のみが対象となります。NISAを活用することで、投資によって得られる利益にかかる税金が非課税となるため、手元に残る金額も増加します。これにより、投資の効果を最大限に引き出すことが可能となります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、老後の資金形成のために設けられた私的年金制度です。加入者は積立額や運用商品を自ら選択し、60歳以降にその運用額を受け取ることができます。掛金は所得控除の対象となり、受取時にも控除が適用されるため、税制面でのメリットを享受しながら効果的に老後資金を準備することが可能です。ただし、原則として60歳まで引き出すことはできないため、長期的な視点で慎重に検討する必要があります。

各リスクとリターンまとめ

リターン リスク 注意点
定期預金 元本割れは無いが低金利
外貨預金 低〜中 低〜中 選択した通貨でリスクが変動
国債 国毎ででリスクが変動
保険商品 低〜中 低〜中 商品の仕組みや特性の理解が必要
投資信託 中〜高 中〜高 選択した商品でリスク・リターンが変動
NISA 中〜高 中〜高 ひとり1口座のみが対象
ideco 60歳まで引き出し不可

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資産形成を失敗させないポイント

資産形成を行う上で以下のポイントに注意しましょう。

無理のない家計管理

資産を築くには、お金を増やすだけでなく、支出を抑える節約も重要です。しかし、無理のある家計管理を行うと、日々の生活が厳しくなります。一定の我慢は必要ですが、生活に過度な負担がかからないレベルでの家計管理が大切です。

資産形成の達成には時間が必要

資産形成は一朝一夕に成果が出るものではありません。投資や資産運用には一気にお金を増やすイメージつきものですが、資産形成の目的は将来の資産を安定させることです。長期的に資産を増やすことを念頭に置いて進めましょう。

資産運用の開始は貯金に余裕が生まれてから

資産形成でも積立投資などの運用も可能ですが、生活費や緊急資金などの貯金は必ず確保し、余裕のある範囲内で始めることが大切です。

運用商品のリスクを把握する

金融商品の運用にはリスクが存在します。元本割れで資産を減らす可能性があるだけでなく、一定期間現金化できないものや、途中解約で違約金が発生する金融商品も存在します。各商品の特徴をよく調べ、運用できると判断したものを選択しましょう。

定期的な見直し

個人の収入や物価などから、家計の状況は日々変わります。定期的に家計管理や必要となるお金を見直し、必要に応じて調整しましょう。

PPSがおすすめする資産運用の方法

資産形成と資産運用について、これまで説明した内容は基本的な一般知識となります。PPSでは一定額以上の資産運用をする場合、海外銀行を活用した定期預金をおすすめしております。なぜなら、海外口座には、資産を円と外貨に分ける資産分散と高金利の預金を行えるメリットがあるためです。

海外口座のメリット

  1. 日本の銀行に比べて高金利
  2. 外貨を持つことによる日本円の為替変動に対するリスク分散
  3. 定期預金のため預けるだけで資産を増やせる

海外口座のデメリット

  1. 海外銀行の安全性がわかりにくい
  2. 外貨預金と同じく為替手数料の発生
  3. 口座凍結や維持手数料などの日本とは違うルールがある

海外口座を運用するタイミングは?

海外銀行口座は、日本と比べて高金利が魅力ですが、少額の預金では金利の恩恵は得づらく、為替手数料などのデメリットもあります。そのため、海外口座に資金を預けるタイミングとしては、資産形成の初期段階ではなく、まとまった資産を持っている場合や、資産を増やす資産運用の段階での活用が適しています。

PPSでは、海外銀行にお金を預けるタイミングとして、当面使う予定の無い資金1,000万円以上を推奨しています。

まとめ

資産形成は、将来の安定と豊かな生活を築くための重要な一歩です。資産を増やすためには、資産運用や投資だけでなく、適切な家計管理や将来のライフイベントの想定も必要となります。自分が豊かな生活を実現するためにも今から何をするべきか、どのくらい貯蓄を準備すれば良いか、資産形成を通じて考えてみましょう。