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世界が日本円を借りる理由|PPSメールマガジン vol.375 2026.05.29 #メールマガジン

前回は、Googleの親会社であるAlphabetが、
円建て社債を発行したニュースを取り上げました。

アメリカの巨大IT企業が、
日本円でお金を借りる。

AI投資の巨大化により、
資金調達先の一つとして円が選ばれる形に。

このニュースは、
円という通貨の性質を考えるうえで、
非常にわかりやすい事例です。

円安が進むと、
私たちはどうしても
「円の価値が落ちている」
という面に目が向きます。

もちろん、それは間違いではありません。

円だけで資産を持つことのリスクは、
以前よりも見えやすくなっています。

ただし、円にはもう一つの顔があります。

それは、世界から見て、
「借りやすい通貨」である側面です。

▼ 通貨には「持つ側」と「借りる側」がある

通貨を見るとき、
多くの人は「持つ側」の視点で考えます。

円を持っていて大丈夫か。
ドルを持つべきか。
外貨資産を増やすべきか。

資産を守るうえで重要な視点です。

しかし、金融市場では、
通貨は「持つもの」であると同時に、
「借りるもの」でもあります。

企業は事業のために
資金を借りる必要があります。

また、金融機関や投資家も、
運用や取引のために
さまざまな通貨で資金を調達します。

このとき重要になるのが、
「金利」です。

金利が低い通貨は、
借りる側から見るとコストが低い。

円は世界基準で見ても、
低金利環境が続いている通貨です。

そのため、世界の企業や投資家にとって、
円は資金調達に使いやすい通貨になります。

ここで重要なのは、
円の価値が高いから
使われるのではない点です。

低金利で借りやすいから使われる。

これが円の一つの側面です。

▼ 円安でも、円が使われる理由

誤解しやすいのは、
「円安だから円は魅力がない」
という見方です。

たしかに、
円を資産として保有する側から見れば、
円安は購買力の低下につながります。

日本で生活する以上、
支出はほぼ円になります。

そのため円安は、
輸入品価格や物価上昇を通じて、
家計に影響する無視できない問題です。

しかし、借りる側から見ると、
話は少し変わります。

低い金利で円を調達できるなら
企業にとっては、
資金調達コストを抑えられます。

特にAlphabetのような
信用力の高い企業であれば、
日本の投資家から資金を集めやすい。

円建てで債券を発行すれば、
日本の機関投資家にとっても購入しやすい。

つまり、
円安だから使われないのではありません。

低金利だから、
使われる場面があるのです。

ここに、通貨を見るうえでの
大きなポイントがあります。

▼ 「安心して持てる」とは違う

海外企業が円を借りる理由は、
円に絶対的な強さがあるからではありません。

低金利で調達しやすいからです。

なので、 世界で円が使われることと、
日本人が円だけで資産を持つことは、
まったく別の問題です。

ここを混同すると、
通貨の見方を誤ります。

円は使われている。
だから円は安心だ。

そう単純には言えません。

むしろ、海外企業は、
円の低金利という特徴を利用しています。

一方、日本人は、
円の購買力低下やインフレ、
外貨との金利差と向き合う必要があります。

同じ円でも、
使う立場によって意味が変わるのです。

▼ 私たちが見るべきポイント

このニュースから考えるべきことは、
「Googleが日本や円を評価した」
という単純な話ではありません。

また、「円が強いから選ばれた」
という話でもありません。

重要なのは、
円が世界の資金調達の中で、
どのように使われているかです。

日本人にとって円は、
生活を支える通貨です。

しかし世界から見ると、
円は低金利で借りられる通貨でもあります。

この違いを理解すると、
円安や金利、海外資産の見方も変わってきます。

円だけを持つことの安心感。
円が世界で利用される理由。
円の価値が下がるリスク。

それぞれ別の問題です。

同じ「円」でも、
見る立場によって意味は変わります。

資産を考えるうえで大切なのは、
通貨を一面的に見ないことです。

円安だから円はだめ。
ドル高だからドルが正解。
金利が高いから外貨が有利。

そうした見方だけでは、
本質を見誤ることがあります。

通貨には、
保有する通貨としての顔と、
借りる通貨としての顔があります。

そして今回のニュースは、
円が後者の意味で世界の巨大企業に
利用されていることを示しています。

ただし、円が世界で使われていることは、
日本人が円だけで資産を持つ
安心材料にはなりません。

円を使い円で暮らす。
しかし、資産を円だけに偏らせない。

これからの時代は、
そうした視点がより大切に
なっていくのではないでしょうか。

それではまた。

PPS代表 吉岩 勇紀

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この記事は2026年5月22日配信のメールマガジンとなります。
当時の状況による内容であるため、現在の状況とは異なる場合がございます。

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